無人の荒野 被災の地で 

 絵描きを呼び止めたのは

 

   一本のクロマツだった 

 

画家・絵本作家 いせひでこを

映像作家 伊勢真一が描いた「いのちのかたち」の物語。

まるで絵本のようなドキュメンタリー。

 

生まれ、育ち、朽ち果て、また生まれ巡る──。

一本のクロマツと絵描きの物語は、

同じ“いのち”でつながるわたしたちの物語。

きっと、見上げた空に、散歩道や森の中に、

そして絵や絵本の中に、

さまざまな“いのちのかたち”が見えてくるでしょう。

 〈ヒューマンドキュメンタリー映画〉

『いのちのかたち −画家・絵本作家 いせひでこ−』

2016年/カラー/1時間22分

伊勢真一 演出作品

製作・配給 いせフィルム


Trailer

2011年3月11、東日本大震災。

宮城県亘理町では、300名に及ぶ人々が犠牲になった。

美しい海岸で知られる吉田浜の集落は

津波で流され壊滅状態となった。

あの日までのことを、あの日のことを、あの日からのことを

よりも記憶しているにちがいない

亘理町のクロマツと、4年近くにわたって向き合い、

その声に耳を澄ませ見つめ続けた絵描きの


終わらない旅の物語

 

じっと目をつぶる

映画いのちのかたちに寄せて

かんとく・伊勢 真一

 

「その木に呼び止められたとしか思えないの」

友人のいせひでこさん(画家・絵本作家)が興奮気味にその木のことを語ってくれたのは、確か2012年の忘年会の席だった。根をむきだして横たわっていたというクロマツ。ひでこさんがその木と出逢ったのは、私の映画『傍(かたわら)〜3月11日からの旅〜』(2012年製作)の舞台、宮城県亘理町吉田浜だという。勢いに押されるようにして、吉田浜に向かったのは、2013年、年が明けてすぐのことだ。

 

あの津波で集落の痕跡さえ見えなくなった荒野に、そのクロマツは待ち受けていた。

堂々としていた。

被災地では、それまで筆を執ることが出来なかったというひでこさんが、ごく自然にスケッチ帖を取り出す。そして、ごくごく自然にカメラは回り始めた。クロマツの倒木に寄り添うひでこさんのその姿にまた、寄り添うように撮影は続いた。

 

あの日までのことを、あの日のことを、あの日からのことを、記憶しているにちがいないクロマツの心の声に、耳を澄ませる。そしてスケッチする。ひでこさんは幾度も吉田浜を訪れ、クロマツとの対話を深めていった

 

一枚を描き終え、二枚を描き終え、三枚を描き終え、それでも鉛筆をおこうとはしなかった。

「見尽くし、描きとどめるのだ・・・」と。

描き終えた作品を額に入れることもしなかった。

「未完の物語だから・・・」と。

クロマツとの出逢いから4年の歳月が流れた。

 

 生まれ、育ち、朽ち果て、

また生まれ巡る──。

吉田浜の一本のクロマツ、安曇野のアカマツ林、自宅の庭に息づく草木・・・そして幼子たち。

ひでこさんはそれらの「いのち」と語り合い、そのメッセージを絵やことばに、「かたち」にしていく。

 

いのちのこと・・・、一人ひとりの、一つひとつの、いのちのこと。いのちには、それぞれの名前があり、かたちがあること。

 

いのちに寄り添う画家・絵本作家 いせひでこを通して“いのちのかたち”に触れる物語。

 

「じっと目をつぶる。

 すると、何が見えてきますか」

(長田弘『最初の質問』より)

 

まるで絵本のようなドキュメンタリーが

誕生した。


der heilige punkt −神聖な場所−』 ©いせひでこ

「この木すごいですよね。

 もう人間が忘れてしまったようなものを

 黙って示してる感じ・・・」(いせひでこ)


画家・絵本作家 いせ ひでこ

画家・絵本作家。1949年北海道生まれ。スケッチの旅での出会いや体験を大切にする現場主義に徹した作品で知られる。『ルリユールおじさん』(講談社)講談社出版文化賞絵本賞、『水仙月の四日』(偕成社)産経児童出版文化賞美術賞、他受賞作多数。近作は『最初の質問』(詩・長田弘/講談社 2013年)、『かしの木の子もりうた Love you forever』(訳・細谷亮太/岩崎書店 2014年)、『わたしの木、こころの木』(平凡社 2014年)、『幼い子は微笑む』(詩・長田弘/講談社 2016年)など。東日本大震災のあった2011年には、子どもたちの未来に祈りを込めて『木のあかちゃんズ』(平凡社)を緊急出版。チェロを13歳から弾き続けており、2015年には復興支援として宮城県で開催された「1000人のチェロ・コンサート」にチェリストの一人として参加した。


Flyer

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Movie information

作成中

出演:いせひでこ 柳田邦男 細谷亮太/題字:細谷亮太/撮影:石倉隆二 宮田八郎 田辺司 世良隆浩/音響:米山靖/録音:渡辺丈彦 永峯康弘/照明:工藤和雄/編集技術:尾尻弘一/整音:井上久美子/宣伝デザイン:森岡寛貴/企画・制作補:遠藤郁美/上映デスク:鷲見真弓/制作デスク:増馬則子/詩:長田弘「最初の質問」「幼い子は微笑む」/絵本(いせでひこ):「最初の質問」講談社 「幼い子は微笑む」講談社 「わたしの木、こころの木」平凡社 「木のあかちゃんズ」平凡社 「チェロの木」偕成社 「1000の風 1000のチェロ」偕成社 「かしの木の子もりうた」岩崎書店 「画集 『死の医学』への日記」新潮社/タブロー(いせひでこ):「5歳の風(はじめての記憶)」「アカシア」「永遠のそこ」「レクイエム」「自画像」「der heilige punkt  −神聖な場所−」「Indestructibility −クロマツ『再生』−」/タブロー(伊勢偉智郎):「自画像 幻想−抜け出した画像」/子どもたちの絵:福島県相馬郡飯舘村立 草野・飯樋・臼石小学校/主題曲:カッチーニ「アヴェ・マリア」 チェロ演奏 いせひでこ/演奏:佐藤満 スズキ・メソード チェロ科 佐藤満クラス 1000人のチェロ・コンサート 岩手県立不来方高等学校音楽部 福島県立安積黎明高等学校 合唱団 宮城県立仙台三桜高等学校音楽部/協力:苫米地サトロ FMあおぞら 酒井倫子 絵本美術館 森のおうち ますよし画材店 1000人のチェロ実行委員会 NPO国際チェロアンサンブル協会 偕成社 講談社 平凡社 岩崎書店 新潮社 婦人之友社/製作協力:ヒポ コミュニケーションズ 一隅社 ハチプロダクション ジオングラフィック MOCプロジェクト/企画・製作:いせフィルム/演出:伊勢真一